【呪術廻戦/五条悟R18】── 花冠の傍らで ──
第8章 「アシンメトリー・ナノ・ループ・ビーズ**」
それから、数日後。
「ー、ちょっとハサミ貸してくれない?」
先生が私の部屋のドアを少しだけ開けて、顔を出した。
「あ、はい。机の上にありますよ」
私が答えると、「さんきゅ」と言って部屋に入ってきたが、先生の視線はある一点に釘付けになっていた。
その目は、窓際をじっと見つめている。
「……先生? ハサミなかったですか?」
声をかけると、先生は無言のまま、窓際へ歩いて行った。
「……ねえ、。これ」
そう言って、先生は、カーテンを縛り上げているハートのチェーンをつまんだ。
「あ、それですか?」
「カーテンのタッセルが壊れちゃって困ってたんですけど。この前買った、それがちょうどよくて」
「…………」
「長さもリングのサイズもぴったりでした。私って天才かもしれません」
「…………」
先生が手で顔を覆って天を仰いだ。
口元が、必死に笑いを堪えるようにひくひくと引きつっている。
「……っ、あははははっ!」
ついに堪えきれなくなったのか。
先生がお腹を抱えて、声を上げて笑い出した。
(……えっ、なんで……?)
笑いすぎで滲んだ涙を指で拭いながら、先生はカーテンからチェーンを外す。
でも、また吹き出しそうになって、慌てて口元を押さえた。
「いや、すごいよ。発想が斜め上すぎる」
「え?」
「やばい、腹いたい。で、残念なお知らせなんだけど」
「残念なお知らせ……?」
「。これ、…………アナルビーズだよ」
……あなるびーず?
聞き慣れない響きに、私はぱちぱちと瞬きをした。
(なにそれ。初めて聞いた)
頭の中で、その単語を分解してみる。
あ。な。る。
びーず。
……はっ。
一つの答えに辿り着いた私は、先生の顔を見上げた。