【呪術廻戦/五条悟R18】── 花冠の傍らで ──
第2章 「咲きて蕩けし、夜の花**」
ブラインド越しに、やわらかな夕陽が差し込んでいた。
高専の事務室は静かで、紙をめくる音だけが小さく響いている。
「伊地知さん、こちらが今回の報告書です」
が手にしたファイルを差し出すと、伊地知が深くうなずきながら丁寧にそれを受け取った。
「ありがとうございます。いつも迅速なご対応、助かります」
「いえ、任務のうちですから……」
軽く頭を下げたそのとき――
背後から、ひときわ陽気な声が響いた。
「あっ、、もう報告済ませたの? さっすがGTGの生徒だね〜」
振り返ると、いつもの黒の制服に身を包んだ五条が、扉の向こうから悠々と現れた。
目隠しをかけ、片手にはコンビニの紙袋。
「五条さん、どこに行ってたんですか?」
「え?三時のおやつ買いに」
「……もう夕方ですよ」
伊地知が深いため息をするのに対し、は少し嬉しそうに挨拶を返した。
「おつかれさまです、五条先生」
「うん、おつかれ〜」
五条は彼女の頭をぽんと軽く撫でるように触れながら、そのまま椅子にすとんと腰を下ろす。
「任務、問題なかった?」
「はい。特には」
「そ、ならよかった」
五条はコンビニの袋をごそごそと漁り、その中からひとつの小箱を取り出した。
「はい、ご褒美〜。任務がんばったには、チョコレート」
「えっ……ありがとうございます」
差し出された小さな粒チョコに、は戸惑いながらも両手で受け取る。
「ひと粒で疲れがふっとぶ魔法」
そう言って、五条は自分の分もひとつ口に放り込み、満足げに頷いた。
「……先生、甘いもの好きですよね」
「うん、頭使うと糖分欲しくなるしね。あと、おやつは別腹だしね」
は、口元にチョコを運びながら、ずっと気になっていた“あの言葉”について、それとなく尋ねてみた。
「……あの、そういえば先生って、甘いもの以外にも漬物好きなんですか?」
「……」
口にしかけたチョコを噛む手が、ぴたりと止まる。
「漬物?」
「はい」
「……まあ、人並みにかな。定食の横とかにちょこっとあると、嬉しいよね」
「じゃあ、ぬか漬けも好きだったりしますか?」