【呪術廻戦/五条悟R18】── 花冠の傍らで ──
第8章 「アシンメトリー・ナノ・ループ・ビーズ**」
「ヴィクトリア朝時代のイギリスにはもう、貴族の間で似たようなものがあったとかなんとかって、七海が言ってた」
「七海さんが!?」
へえ、そんな昔からあるんだ。じゃあ、安心。
七海さん、物知りだなぁ………………じゃなくて。
そういうことじゃないから!
「誰が考えたとか、どうでもいいですからっ!」
私は勢いよく手を伸ばして、先生の手元からその銀色のクリップをひったくった。
(先生に絶対に渡しちゃだめ……っ)
本能みたいなものが、全力でそう告げていた。
両手でクリップを包み込むようにして、ベッドの端まで後ずさる。
「返してよ、」
「だめですっ!」
クリップを握った手を背中に隠して、さらに端へ逃げた。
「絶対、痛いに決まってるじゃないですか! 乳首取れちゃいますっ!」
「取れない取れない。そんなヤワに出来てないでしょ」
先生はベッドの上で膝立ちになると、私が背中に隠した手を捕まえようとして、ぐいぐい距離を詰めてくる。
「それにね、これ、ハマるとすっごく気持ちいいらしいよ? ほら、貸してってば」
き、気持ちいい……!?
こんな洗濯バサミみたいなもので挟まれて!?
信じられない。
どう考えたって、痛そうな想像しか浮かばないのに、先生の顔は心底楽しそうだった。
(このままじゃ、私の身体が……先生のおもちゃにされちゃう……っ!)
手当たり次第に、ベッドの上の枕やクッションを掴んで先生に向かって投げつけた。
「いやです! 絶対嘘ですーっ! そんなに気持ちいいなら、先生がつけたらいいじゃないですかーっ!」
「僕がつけても面白くないじゃない」
「やっぱり面白がってるじゃないですかっ!」
先生は飛んでくるクッションを、片手でひょいひょいと余裕でキャッチしては、ぽいっと横へ放り投げていく。
少しもダメージを与えられていない。
最後のクッションを投げつけ、私はバッと身を翻してベッドの反対側へ逃げようとしたが。
「ほら、ちょっとだけだから」
「ちょっとでも痛いものは痛いんですっ……ああっ!」
私の手首は、あっさりと先生に捕まってしまった。
背中に隠していたクリップも、するりと奪い取られてしまう。
ちりん。
先生の勝利を告げるみたいに、鈴の音が鳴った。