【呪術廻戦/五条悟R18】── 花冠の傍らで ──
第8章 「アシンメトリー・ナノ・ループ・ビーズ**」
***
先生のマンションに着いてからも、私はまだそわそわしていた。
ベッドの上で先生が、さっきの紙袋をがさがさと開けて、中身を嬉しそうに並べ始めたからだ。
淡いピンクのたまご。
リスの形をした置物。
鈴のついた銀色のクリップ。
水色のマシュマロみたいな柔らかい棒。
そして、赤いハートが連なったチェーン。
(かわいいような、かわいくないような……)
明るい部屋で見ると、お店のネオンの下で見た時よりもずっと、いびつで奇妙な存在感を放っている。
並べた五つのアイテムを見下ろして、先生の口角がゆるゆると上がっていった。
「さ、どれから使う?」
……あ。
やっぱり、使うんですね。
もしかしたら眺めるだけで終わるかも、なんていう甘い考えは、そこで跡形もなく消えた。
「……使わないっていう、選択肢は……?」
半分祈るみたいな気持ちで聞いてみる。
「ないよ。だって、が自分で『これがいい』って選んだんでしょ?」
これがいいっていうか……
先生が、選ばないと帰れないって言ったからでしょ。
そう言い返したい。
言い返したいけど、勝てる未来が見えない。
だったらもう、一番ましそうなものを選ぶしかない。
腹をくくって、シーツの上に並んだ得体の知れないものたちをじっと見つめた。
(……リスとか、水色の棒は、どう見ても怪しいし)
消去法で、一番見慣れた形をしているものに手を伸ばした。
「……じゃあ、これ」
私が指差したのは、小さな鈴がついた銀色のクリップ。
「お、それからいく?」
先生の声が、わかりやすく弾んだ。
その反応だけで、選択を間違えた気がする。
私はそれをつまみ上げ、まじまじと見つめた。
(先っぽ、洗濯ばさみみたいになってる……)
でも、鈴もついているし。
たぶん、アクセサリーみたいなものだよね。
……そういうことにしよう。
耳たぶを挟むようにつけてみる。
顔を少し動かすたび、耳元でちりんと小さな鈴が鳴った。