【呪術廻戦/五条悟R18】── 花冠の傍らで ──
第8章 「アシンメトリー・ナノ・ループ・ビーズ**」
(なんだろ、これ?)
丸っこくておもちゃみたいで、このお店の中では全然いやらしく見えない。
近づいてみると、パッケージの横にテスターとして、箱から出された中身だけのものが置かれていた。
リスのお腹のあたりに、小さな丸いボタンがついている。
(……押すのかな)
恐る恐る、そのボタンをカチッと押し込んだ。
ジ、ジジジ……ッ!
チュポッ、スゥーッ……!
「ひゃっ!?」
いきなり手の中でリスが激しく震えだした。
それだけじゃない。
丸く開いたリスの小さな口から、空気を吸い込むような奇妙な音が鳴っている。
指をリスの口元に近づけると、きゅっと吸盤のように皮膚が吸い付かれた。
「うわっ、す、吸ってる!? なんで!?」
慌てて指を離そうとするけれど、リスの小さな口はチュポ、チュポ、と執拗に指の腹を吸い上げてくる。
(ただの置物じゃないの!? どうして吸うの!?)
掃除機にしては小さすぎるし、何より吸い付かれる感触が、なんだか生々しくてぞわぞわする。
ブルブル震えるリスを持ったままオロオロしていると。
「お、それもいいんじゃない?」
その声に振り返ると、先生が私の肩越しから手元のリスを覗き込んでいた。
「……先生。これ、何に使うんですか?」
手の中でいまだ震え続けるリスを持て余して、先生を見上げる。
「気になるなら、買ってみれば?」
気になるというか……全然、使い道がわからないんですけど。
でも、あと四個選ばないと、この店から出られそうにない。
さっき押したテスターのボタンをもう一度押して、振動を止める。
横に置いてあった新しい箱を取って、カゴに入れた。
これで、二個。