【呪術廻戦/五条悟R18】── 花冠の傍らで ──
第2章 「咲きて蕩けし、夜の花**」
「ていうか、五条さんって、ぬかろくかな?」
(ぬ、か、ろく……?)
は眉をひそめる。
(……なにそれ。ぬか漬けの一種? 新しい助六の種類?)
語感はなんとなく、ぬか漬けっぽい。いや、お寿司かもしれない。
彼女の頭には、漬物と海苔巻きといなり寿司が浮かんでいた。
「え、それほんと? てかそんな人、実在すんの?」
「いや五条さんだよ? むしろ納得じゃない?」
「うわ……私だったら無理かも。絶対ついていけない」
(……無理? ぬかろくって、嫌いな人もいるのかな?
パクチーみたいに好き嫌い別れる系?)
まったくピンとこない。
「でも、五条さんとなら、一回ぐらいは味わってみたいかも〜」
「それ、本気? 死ぬよ!」
(……死ぬ!?)
意味はわからないのに、急に出てきた“死ぬ”のワードにの背筋がぴくっとなった。
(え、ぬかろくってそんなに刺激物なの? 激辛系?)
「やば!もうこんな時間。私、伊地知さんに呼ばれてたんだった」
「じゃあ、またあとでね」
「お疲れ〜」
笑い声とともに、補助監督たちの足音が遠ざかっていく。
……廊下に静寂が戻る。
そこに残されたは、書類を抱えたまま、首をかしげた。
「……ぬかろく……?」
ぽそっと、呟く。
(スーパーとかで売ってるのかな……?)
そのまま、報告書を抱えたは再び歩き出す。
――まさか自分がその夜、“ぬかろく”の真の意味を知ることになるとは、思いもせずに。