【呪術廻戦/五条悟R18】── 花冠の傍らで ──
第7章 「背伸びの先にある恋**」
息を整えて、先生が顔を上げた。
そして、汗で額に張りついた私の前髪をそっとはらう。
「……ちなみに僕は。と一緒にいるだけで、押し倒さないようにするの必死なんだけど」
そんなの、ずるい。
先生にそんなことを言われたら、こっちの身が持たない。
顔中が一気に熱くなるのがわかって、先生の胸元に顔を埋めた。
(押し倒さないように、必死……)
頭の中で、その言葉がぐるぐると回る。
埋めた胸元から、先生の少し早い鼓動が伝わってきた。
こんなに強くてかっこいい人が、私のせいで余裕をなくしている。
そう実感するたびに、やっと落ち着いてきた心臓がまた跳ね上がった。
(……私だって、同じなのに)
何か言わなきゃ。
恥ずかしくて顔は上げられないが、震える声で言葉にした。
「……私も、先生といるといつも心臓うるさいです」
そう言うと、先生は私の顔を下から覗き込んで。
口角がわずかに上がり、楽しそうに細められた蒼い瞳が私を捕まえた。
「え、濡れちゃう?」
「ば、ばか……! そういう意味じゃないですっ」
くすくす笑う気配が近くで揺れて、余計に顔が熱くなる。
誤魔化すみたいに、私はもう一度先生の胸元へ額を押しつけた。
ふと、私の髪を撫でていた先生の手が止まった。
「そういえば……硝子から教わったことって、なあに?」
えっ……!!
完全に油断していた。
(忘れてたと思ってたのに……っ!?)
心臓がさっきとは全然違う理由で、バクバクとうるさく鳴り始めた。
先生は、「早く、早く〜」と急かしてくる。
「……い、言わなきゃだめ、ですか……?」
そう聞くと、先生は少しだけ目を細めた。
私の髪を撫でる指先はやさしいままなのに、その顔はまるで獲物を見つけたみたいに意地悪だ。
「僕ね、が恥ずかしがってる顔、くるんだよね」
先生はそう言って、私の頬を指先でつつき始めた。
「っ……」
「もちろん、いじめたいわけじゃないよ? でも、そんなふうに真っ赤になってるの見ると……余計に知りたくなる」
「……笑いませんか……?」