【呪術廻戦/五条悟R18】── 花冠の傍らで ──
第7章 「背伸びの先にある恋**」
……なのに。
いつまで経っても、唇が重なる気配がこない。
(……あれ?)
おそるおそる目を開けると。
先生の顔には、明らかな困惑が浮かんでいた。
「首、痛くない? それ」
予想していた甘い言葉でも、大人のキスでもなく。
「えっと……」
「なんかさっきから動きカクカクしてるし。今もすごい不自然に曲がってるけど」
先生の大きな手が私の頬から離れて、今度は首にそっと当てられる。
「あ、もしかして寝違えた?」
ガチのトーンで、ただ心配されている。
ちなみに、無理な体勢で先生との身長差を埋めつつ角度をキープしているせいで、首の筋はさっきから本当につりそうに痛い。
「寝違えては、ないです……っ」
「そ。なら、良かった」
首に触れていた手が、髪を撫でるように後頭部へ回った。
(あ……)
同時に、落とされた影が私の視界をすっぽりと覆い尽くして。
「……ん、ぅん……っ」
気づけば、先生のキスに引き込まれていた。
重なる唇から、微かに甘いタルトの味がする。
そのキスが気持ちよすぎて、あっという間に頭の奥が痺れていく。
ソファの背にもたれたまま、また先生のペースに呑まれていた。
(だっ、だめ、これじゃいつもと同じ……っ)
ぼんやりしかけた頭の隅で、焦りがじわじわと膨らんでいく。
斜め45度は失敗した。
でも、まだ終わりじゃない。
私には、まだ特訓した『魅惑の吐息』と、硝子さん直伝の『大人のキラーフレーズ』が残っている。
重なる唇の隙間で、次の作戦へ移るタイミングを必死に探した。
ちゅっと小さな音を立てて、唇が離れていく。
視界を塞いでいた先生の顔が、ゆっくり下りていって。
次の瞬間、首筋に熱い唇が触れた。