【呪術廻戦/五条悟R18】── 花冠の傍らで ──
第7章 「背伸びの先にある恋**」
***
そして迎えた、決戦の土曜日。
先生のマンションの最寄り駅で待ち合わせをして、そのまま駅前のデパ地下へと向かった。
目的は、映画を見ながら食べるデザートの調達だ。
「んー、どれにしようかな。は決まった?」
きらきらと輝くケーキのショーケースを前に、先生が楽しそうに覗き込んでいる。
黒いサングラスの奥の蒼い瞳は、すっかり甘いものへの期待でいっぱいだった。
「私は……この、季節限定の桜モンブランにします」
「じゃあ、僕は新作のフルーツタルトと、チョコレートケーキ。……あと、このバスクチーズケーキも」
相変わらずの甘党ぶりに頬が緩む。
綺麗に箱詰めされたケーキの紙袋を持って、私たちはマンションへと歩き出した。
♢
先生の部屋に着くと、私はソファに腰を下ろし、先生はキッチンから飲み物を持ってきた。
ローテーブルにケーキを広げ、先生がテレビをつける。
「この前話してた映画、ちょうど配信始まったんだよね」
「あ、これ。ずっと気になってたやつです」
「主人公の相棒が、実は最後に裏切って黒幕なんだよ」
「……先生。それ、すごいネタバレ……」
「アクション派手で面白いから大丈夫でしょ」
先生は全く悪びれる様子もなく、リモコンの再生ボタンを押した。
激しい銃声と爆発音、それに主人公たちのテンポのいい掛け合いがスピーカーから響き渡る。
「はい、。あーん」
映画の画面から視線を外さないまま、先生がフォークで切り取ったタルトを私の口元へ運んできた。
「……あ、ありがとうございます」
ぱくりと口を開けて受け取る。
サクサクの生地に甘いカスタード。
それに甘酸っぱいフルーツの味が広がる。
いつもなら「美味しいですね」と笑い合えるはずなのに。
(……全然、味も映画も頭に入ってこない)