【呪術廻戦/五条悟R18】── 花冠の傍らで ──
第1章 「香惑の宵**」
「実はあれ、医務室にあったやつでさ。七海が呪詛師から押収した“媚薬”だったんだよね〜」
「――――――……は?」
沈黙。
はぴたりと動きを止めて、
顔を真っ赤にしながら、口を開けて五条を凝視した。
そして、数秒後――
「そんな正体不明なモノを、私に飲ませたんですか!?」
「え〜、硝子が害はないって言ってたから大丈夫だよ」
「そういう問題じゃないですっっ!!」
がシーツを握りしめ、怒りで震える。
「呪詛師から押収って、絶対ろくでもないやつじゃないですかっ!」
五条はニヤニヤしながら、の隣に座った。
「でもさ、も……気持ちよかったでしょ?」
「~~~~っっっ!!!」
真っ赤になったは、言葉を詰まらせたまま、目をそらす。
「ん? 否定しないってことは……やっぱり」
「ちがっ……そ、それは……っ!」
「また奥、トントンしてあげよっか?」
「……~~~~~~~~っっっ!!???」
の手が無意識に動く。枕を掴んで――
ぶんっ、と音を立てて枕が飛ぶ――
が、すんっと五条の目前で静止した。
「おっと……次は、そういうプレイ?」
枕を拾いつつ、何故か嬉しそうにする五条。
は、顔を真っ赤にしたまま布団に突っ伏す。
「悟さんのばかっ!! 最低っ!! 変態教師っっ!!」
その声は――
見事な通音性をもって、
呪術高専の廊下から、敷地の外れまで響き渡ったという。
──そして数日後。
高専・医務室。
薬品棚を物色する五条の背後から、低く、鋭い声が飛んできた。
「……何探してんの?五条」
「硝子〜。前にあったでしょ? 呪詛師から押収した媚薬」
「……は?」
硝子がコーヒー片手に、胡乱な目を向ける。
五条はいつもの調子で、指をひょいと立てて笑った。
「いやさぁ、がまだ僕と口きいてくれなくて〜。
でもほら、あれ使ったときは、すごい素直だったし?
だから、また使いたいんだよね」
「……」
沈黙が数秒、いや、永遠にも感じられるほど重く落ちる。