【呪術廻戦/五条悟R18】── 花冠の傍らで ──
第6章 「しのぶ恋なれ、夏の宵**」
♦︎おまけ♦︎
「お客さん、空港着きましたよ」
「……ん、あー……ありがと」
運転手さんの声で、先生がむくりと身体を起こした。
私もつられて背筋を伸ばす。
(……寝ちゃってた)
タクシーに乗ったら、ふたりとも電池が切れたみたいに落ちてしまった。
「……ふわぁ、よく寝た」
先生は大きく伸びをすると、ポケットからスマホを取り出した。
旅行中は「邪魔だから」と言って、ずっと電源を切っていた。
「今のうちに連絡チェックしとくかー。……まあ、どうせロクな連絡ないだろうけど」
「高専からの連絡、溜まってるんじゃないですか?」
「んー? 大丈夫でしょ。伊地知がなんとかして……」
言いながら、先生が電源ボタンを長押しする。
画面が明るくなり、ロックが解除された、その瞬間。
ブブブブブブブブブブブブブッ!!!
凄まじいバイブ音と共に、画面が埋め尽くされた。
「……え?」
「うわ」
横から覗き込むと、その画面を見て息を飲んだ。
そこに表示されていたのは――
『不在着信:夜蛾学長(58件)』
『新着メッセージ:夜蛾正道
「悟、どこにいる」
「悟、電話に出ろ」
「七海から聞いたぞ」
「悟、帰ったら分かっているな」他(102件)』
「ご、ごじゅう……!? ひゃ、ひゃく……!?」
「うわー、学長しっつこーい。ストーカー?」
「せ、せせせ先生!? これ、怒られますよ!? 学長、すごく怒ってます!」
真っ青になる私をよそに、
先生はべっと舌を出して、慣れた手つきで操作した。
プツ。
「あ」
「はい、見なかったことしーようっと」
「で、電源切ったー!!??」
先生はスマホをポケットに放り込むと、何事もなかったかのような笑顔で私を振り返った。
「さ、お土産買いに行こっか! いきなり団子まだ買ってないし!」
「そ、そんな場合じゃ……!」
「いいのいいの。どうせ帰ったら説教コース確定だし、今は楽しんだもん勝ちでしょ」
そう言って、先生は私の手を引いて歩き出す。
最強の呪術師は、メンタルも最強(最凶)だった。