【呪術廻戦/五条悟R18】── 花冠の傍らで ──
第6章 「しのぶ恋なれ、夏の宵**」
「……ディズニーランド、とか」
「お、ディズニー。いいね……でも、、絶叫系大丈夫なの?」
「絶叫系は苦手ですけど……、パレードとかショーを先生と見れたら楽しいかなーって」
「えー、怖がって僕にしがみつく見たいから……スプラッシュ・マウンテンの一番前ね」
「人の話聞いてました……?」
「絶対に嫌です!」と文句を言いながらも、その目元は柔らかく解けている。
絡ませた指先から、彼女の体温がじんわりと伝わってくる。
(……ほんと、どこでもいいんだけどね)
テーマパークだろうが、温泉だろうが、海外だろうが。
隣にいるのがなら、場所なんて関係ない。
ふと、が窓の外に目を向けた。
窓の向こうには、寄り添って歩く恋人たちの姿が流れていく。
がそれを見て、何を思っているかはわからない。
ただ、膝の上のくまモンをぎゅっと握り直したのが見えた。
けれど、その静かな横顔を見ていると。
どうしようもなくもどかしい感情が込み上げてくる。
僕としては、今すぐ「僕の彼女だ」って世界中に言いふらしてもいい。
世間体なんてどうでもいいし、何かあっても僕が全部潰せばいいだけの話だ。
でも、さっきのロビーみたいに。
余計な視線や言葉は、これからも何度も降ってくるだろう。
がそれで傷つくのは、見たくない。
だから、今だけは君を隠させて。
(……卒業までの辛抱、か)
僕はもう一度、繋いだ手に少しだけ力を込めた。
言えないことも、隠さなきゃいけないことも、きっとまだある。
それでも、この手を離すつもりはない。
今は、人目をしのぶ恋だけど。
この恋が、ちゃんと“名前”を持てる日まで――
、もう少しだけ待っててよ。
──「しのぶ恋なれ、夏の宵」 了。