【呪術廻戦/五条悟R18】── 花冠の傍らで ──
第6章 「しのぶ恋なれ、夏の宵**」
タクシーの後部座席。
ちょこんと小さくなって座っているの姿が見えた。
買ってあげたばかりのくまモンのキーホルダーを、両手で大事そうに持って見つめ合っている。
眉を下げて、真剣な顔でぬいぐるみに語りかけているようだ。
(……ふふっ、何話してんだか)
くまモン相手に悩み相談か?
その様子が可愛いすぎて、さっきまでの苛立ちは嘘みたいに吹き飛んでいく。
「お待たせー」
「あ、先生……!」
僕が乗り込むと、がパッと顔を上げた。
でも、その表情はどこか不安げで。視線が泳いでいる。
口を小さく開いて。
何か言いかけては、またきゅっと結ぶ。
僕の顔を伺うその瞳は、『あの人たちと、どうなったんですか?』と聞きたがっていた。
”連絡先、交換しちゃったのかな”
”聞いたら、めんどくさいって思われるかな”
心の声が顔に全部書いてあるみたい。
けれど、は結局何も聞かずに、膝の上のくまモンへとすっと視線を落としてしまった。
嫉妬を隠して、必死に大人ぶろうとしている。
そのいじらしい姿が、たまらなく可愛い。
手を伸ばして、の頭をゆっくりと撫でた。
「……っ」
肩をビクッと揺らしたが、顔を上げる。
その潤んだ瞳と、まっすぐに視線を合わせた。
「が心配してるようなことは、何もないよ」
「……え?」
「連絡先なんて交換するわけない。追い払って、すぐ出てきたよ」
僕が手のひらで頬を包み込むように撫でると、はホッとしたように目元を緩めた。
「……ねえ」
顔を少し近づけて、わざと声のトーンを落とす。