【呪術廻戦/五条悟R18】── 花冠の傍らで ──
第6章 「しのぶ恋なれ、夏の宵**」
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自動ドアの向こうへ、の小さくなった背中が消えていく。
それを確認して、僕はふぅと息を吐いた。
(……よし、いい子)
あの子は真面目だから、僕の言いつけ通りタクシーに乗って待ってるだろう。
これで、これ以上あの子の耳が汚れることはない。
僕は視線を戻し、まとわりついてくる三人の女たちを見下ろした。
「ねえねえ、これから時間ないですか?」
「私たちも今から帰るんですけどー、もしよかったらお茶とか!」
「せめて連絡先だけでも! 交換しましょーよー!」
鼻をつく、安っぽい香水の匂い。
キンキンと鼓膜を叩く、品のない笑い声。
さっきまで僕の隣にいたの、シャンプーの甘い香りと、控えめな鈴のような声とは雲泥の差だ。
(……くさ。よくこんな匂いまとえるな)
内心でそう毒づきながら、サングラス越しに冷ややかな視線を送った。
けれど、彼女たちは僕の沈黙を「脈あり」と勘違いしたのか、さらに図々しく距離を詰めてくる。
「ていうか、あんな子供のお守りなんて、疲れたでしょ?」
「ねー。もう妹ちゃんは先に帰らせてさ」
「私たちと、『大人の遊び』しません?」
クスクスと笑いながら、僕のを嘲笑うかのような言葉。
それを聞いた瞬間。
僕の中で、何かがプツリと切れる音がした。
「……はっ」
乾いた笑いが漏れる。
ポケットに手を突っ込んだまま、一歩踏み出して彼女たちとの距離を詰めた。
「あのさあ……」
威圧するように、少しだけ首を傾げる。
「勘違いしてるみたいだけど。は妹じゃないし、親戚の子でもないよ」
「……え?」
予想外の言葉に、彼女たちがぽかんと口を開けた。