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【呪術廻戦/五条悟R18】── 花冠の傍らで ──

第6章 「しのぶ恋なれ、夏の宵**」


先生は「お腹減ったね〜」と言いながら、一人涼しい顔をして急須を傾けている。



「起きて顔洗っておいで。……あ、そういえば拭いてる時、寝てるのにピクピクしてたけど、感じてた?」



デリカシーの欠片もない言葉に、カッと頭に血が上る。


(……っ、この人、本当に……!!)


お茶を飲んでいる先生に向かって、ありったけの声で叫ぶ。



「っ、先生のバカ! ヘンターイ!!」

「ぶっ、えっ!?」



先生がお茶でむせてるけど、逃げるように洗面所へと駆け込んだ。
蛇口をひねり、冷たい水を両手ですくってバシャバシャと顔を洗う。
火照った顔が少しだけ冷やされて、ようやく頭がはっきりしてきた。


(先生、なんであんなに元気なの?)


タオルで顔を拭いて、ふと鏡を見上げると――


(……え?)


鏡に映る自分の首筋。
浴衣の少しはだけた襟元から覗く肌に、赤紫色の痕がくっきりと残っていた。


(昨日……こんなのあったっけ……?)


鎖骨のあたりにも。
合わせ目の奥のほうまであちこちに。
さっき冷やしたばかりの顔が、一瞬で茹でダコみたいに熱くなる。



「――っ、せんせぇーー!!!」

「、朝から元気だねぇ」



部屋の奥から、最高に楽しそうな先生の笑い声が響いてきた。







チェックアウトを済ませ、先生と私はロビーの売店へ立ち寄った。
地元の銘菓や工芸品が並ぶ中、ふと視線がある一点で止まった。


(あ……かわいい……)


それは、「くまモン」のぬいぐるみキーホルダー。
黒くて丸いフォルムの「くまモン」が、頭に手ぬぐいを乗せて、気持ちよさそうに温泉に浸かっているデザインだ。
桶に入っている姿が、なんともゆるくて愛らしい。


思わず手に取って眺めていると、背後から先生が覗き込んできた。



「ん? 何見てんの?」

「あ、先生。……これ、くまモンが温泉入ってるんです」

「へえ、ほんとだ。ちょっとマヌケな顔してんね」



先生はケラケラと笑いながら、私の手にあるキーホルダーを指先でつついた。



「欲しい?」

「えっ? あ、いえ! ただ見てただけなので……」

「いいよ、買ってあげる」



先生はそう言うと、
私が遠慮する隙も与えず、ひょいとキーホルダーを取り上げた。
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