【呪術廻戦/五条悟R18】── 花冠の傍らで ──
第6章 「しのぶ恋なれ、夏の宵**」
***
(……ん、ぅ……?)
重たいまぶたの裏で、畳を擦るような静かな足音が遠ざかっていくのがわかった。
「それでは、ごゆっくりお召し上がりくださいませ」
控えめな女性の声と、襖がすうっと閉まる音。
仲居さんが、朝ごはんの準備を終えて部屋を出て行ったらしい。
部屋の中には、お出汁のいい匂いがふわりと漂っていた。
(……もう、朝? いま、なんじかな)
障子の隙間からは、すでに白々とした朝の光が差し込んでいる。
「……ぅ……」
スマホを探そうと寝返りを打とうとして、息を呑む。
全身がずっしりとだるい。
(……あ、わたし……昨日は……)
露天風呂で、部屋で。
何度も何度も先生に求められて。
最後は確か、気絶するように眠ってしまって……
そこまで思い出した時、明るい声が降ってきた。
「おっ、起きた? おはよー、眠り姫」
「……せん、せい……?」
声のする方を見ると、
朝食が準備されたテーブルに座り、先生が爽やかに笑っていた。
「朝ごはん来たよ。冷めないうちに食べよ」
「……あ、はい……」
先生に促されて、のろのろと上半身を起こした。
掛け布団が滑り落ちて――
「……え?」
思わず、自分の体を二度見した。
(……浴衣?)
昨日の夜、間違いなく一糸まとわぬ姿だったはず。
それなのに、今は新しい浴衣を綺麗に着ている。
帯もきちんと結ばれているし、何より……
(……身体が、ベタベタしない……?)
あんなに汗もかいたし、ぐちゃぐちゃだったはずなのに。
「……あの、先生……これ……」
呆然と自分の身体を見下ろしていると、先生が得意げにニカッと笑った。
「ん? ああ、爆睡してたからさ。僕が着替えさせたよ」
「き、着替えさせたって……」
「お風呂入れるのは流石に起きちゃうかなーと思って、濡れタオルで拭いたんだけど……」
先生は事もなげに言うけれど、それってつまり。
「下も、ちゃんと綺麗にしといたよ。きもち悪くない?」
「――っ!!??」
ボンッ!と頭が沸騰する音がした。
し、下も……!?
先生にあそこを見られて、身体をあちこち拭かれたってこと!?
ひぃっ! 恥ずかしすぎて死にたい!!