【呪術廻戦/五条悟R18】── 花冠の傍らで ──
第6章 「しのぶ恋なれ、夏の宵**」
先生が腰に巻いていたタオルを、洗い場の棚の上に置いた。
「――っ!?」
あまりにも自然な動作で、
目を逸らすより早く、それが視界に飛び込んできた。
(っっっ……!!)
み、見てしまった……!!
不可抗力。
これは不可抗力。
だって、こんなに明るいんだもん。
慌てて両手で目を覆ったけど、遅い。遅すぎる。
さっきの見たものが、頭の中で勝手に再生される。
「え、どこ見てんの?」
「み、見てませんっ! 何も見てませんからぁ……!」
後ろを向いて、給湯口の岩陰にへばりついた。
すると、ザバァッ、と。
たっぷりと溢れ出たお湯が、テラスの床を濡らす音がした。
(……は、入ってきた……っ)
心臓が破裂しそう。
先生が入っただけで、広かったはずのお風呂が急に狭く感じる。
「……なんでそんな端っこにいんの?」
「こ、ここが好きなんです……!」
「すみっコぐらしか」
お湯を掻き分ける水音が、真っ直ぐこっちに近づいてくる。
「近寄らないでください……っ! 狭いので!」
「何言ってんの? ここ五人は入れる広さだよ?」
「気持ちの問題ですっ! パーソナルスペースって知ってますか!?」
「僕との間にそんなの必要ないでしょ」
先生がそう言い終わるか終えないかのうちに、背中に温かいものが触れた。
先生の広い胸板。
硬い筋肉の感触。
「――ひゃっ」
「つーかまえた」
逃げる間もなく、背後からすっぽりと包み込まれてしまった。
先生の長い両腕が、私の肩に回される。
いわゆる、バックハグの状態。
「んー。お湯、気持ちいいねぇ」
先生は呑気にそう呟くと、あごを私の頭に乗せてきた。
素肌と素肌が、お湯の中で密着して。
背中に当たる先生の心臓の音と、私の心臓の音が、お湯を伝わって響き合っているみたい。
(……どうしよう、こんなの、のぼせちゃう……)
先生の足が私の足を挟むように伸びていて、そのあまりの長さと、体格の違いを嫌でも思い知らされる。
私、先生の中にすっぽり収まっちゃってる……。