【呪術廻戦/五条悟R18】── 花冠の傍らで ──
第6章 「しのぶ恋なれ、夏の宵**」
「絶対ですよ!? 五分経つまで、こっち見ないでくださいね!?」
「はいはい。五分ね」
先生は部屋に戻って、ソファにドカッと座り直し、スマホを手に取った。
私はその隙に、ガラス戸のカーテンを少しだけ閉めて目隠しを作る。
(……はぁ、はぁ、心臓止まるかと思った……)
とりあえず、確保した時間は五分。
その間に服を脱いで、体を洗って、お湯の中に逃げ込まないと。
私は震える手で帯を解き、浴衣と下着を脱ぐ。
夜の空気を含んだ風が、火照った肌に触れてひんやりとする。
(い、急げ、私!)
私は体を抱きしめるようにしながら、露天風呂の脇にある洗い場へ小走りで向かった。
カランをひねり、シャワーのお湯を出す。
でも、お湯が温まるのを待ってる余裕なんてない。
(急げ、急げ急げ……っ!)
ボディタオルにお湯を含ませ、ソープをワンプッシュ。
優雅に泡立ててる暇なんてない。
私はかつてない「爆速」で手を動かした。
左腕、右腕、首筋、お腹――!
とにかく、全身をガシガシこすっていく。
今の私、たぶん呪霊と戦ってる時より動きがキレてるかもしれない。
背中なんてちゃんと洗えてるか怪しいけど。
とりあえず擦った! ヨシ!
そのままシャワーで、頭からザバザバとお湯をかぶる。
「っぷ……! つめたっ!」
焦って温度調整を間違え、冷水を浴びてしまった。
でも止まってる暇はない。
所要時間、体感で一分半。
これぞ、火事場の馬鹿力ならぬ、入浴場の馬鹿力。
洗面器にお湯を溜めて、最後にもう一度かかり湯をする。
(よし……! これで、マナーも完璧!)
私は逃げ込むように、岩風呂へ足を差し入れた。
「あつ……っ」
少し熱めのお湯。
ざぶんと肩まで浸かると、乳白色のお湯が私の体を隠してくれる。
「ふぅ……」
やっと、一息つけた。
お湯の温かさと硫黄の香りに包まれて、強張っていた体が少しずつ解れていく。