【呪術廻戦/五条悟R18】── 花冠の傍らで ──
第6章 「しのぶ恋なれ、夏の宵**」
「なに、妬いてんの?」
「――っ、違います!」
顔を上げて言い返そうとした、その瞬間。
「わっ……!?」
視界がぐるりと回った。
先生が私の腕を掴んで引き寄せて、そのまま畳に押し倒された。
「せ、先生……!?」
慌てて体を起こそうとするけど、もう遅い。
先生が、上から覆いかぶさってくる。
蒼い瞳が、逃げ道を塞ぐみたいに私を見下ろしていた。
(あ……この顔……)
いつものふざけた笑顔じゃない。
真剣だけど、ちょっと意地悪そうな目。
うぅ……この顔、弱い。
でも、ここで引いたら負けな気がして。
私はぎゅっと唇を結んで、先生の目をまっすぐ見返す。
「……どいてください」
「やだ」
「重いです……」
「嘘だね。僕、ちゃんと体重逃がしてるし」
先生は私の手首を片手でまとめて押さえて、頭の上に縫い付けるみたいに固定した。
もう片方の手で、私の頬をゆっくりなぞる。
「あーあ、くちびる尖ってるよ。かわいいけど」
「……誰のせいだと」
「僕のせい? ごめんごめん」
口先だけの謝罪。
先生はちっとも悪びれていないどころか、今の状況を楽しんでいるみたいだ。
「でもさ、しょうがないじゃん。あそこで『僕の彼女です』なんて言ったら、が困るでしょ?」
その言葉に、胸がぎゅっとなる。
(……先生の言う通りだ)
“彼女”って呼ばれたいのに。
でも……それを本当にされたら、きっと戸惑ってたと思う。
「それは……そうですけど……」
声が小さくなる。
わかってるくせに、素直になれない。
「それに、あの人たちの言うことも一理あるし」
「……へ?」
一理ある?
私が子供に見えるってこと?
……いや、実際、子供なんだけど。
兄妹みたいってこと?
ショックで言葉が出ない私に、先生は意地悪く口角を上げた。
「だって今の、駄々っ子みたいで可愛いし。妹みたいに見えるのも無理ないかなーって」
「っ……!」
先生本人の口から言われると、ショック。
私だって必死なのに。
隣に立ちたいのに。
先生にとっては、結局私は「可愛い生徒」で、「妹みたいな子供」でしかないんだ。