【呪術廻戦/五条悟R18】── 花冠の傍らで ──
第6章 「しのぶ恋なれ、夏の宵**」
スカートのホックに手をかける。
家とは違う、この開放的な空間で裸になるのが、なんだかすごく恥ずかしい。
生まれたままの姿になった瞬間、心細さが押し寄せてきた。
フェイスタオルで体の前を隠す。
(……はやく、お湯に、入っちゃお……!)
ぎゅっとタオルを抱きしめて、少し早足で浴室の扉へと向かった。
♢
扉を開けると、そこはほんとに“竹林の湯”って名前にぴったりな場所だった。
露天風呂のまわりを、ライトアップされた竹がぐるりと囲んでいて、白っぽいお湯が広い岩風呂に静かに湛えられてた。
「わぁ……貸切、みたい……」
他のお客さんは、ぱっと見て数人だけ。
奥の方なんて、誰もいない。
体を洗ってから、そっとお湯に身を沈める。
とろりとした湯が肌にふわっと吸い付いてきて、
「んぅ……きもち~……」
緊張で強張っていた体が、お湯の中でゆっくりとほどけていく。
さっきまで「マナーが」とか「恥ずかしい」とか焦ってたけど。
いざ入ってみれば、みんなそれぞれのペースでのんびりしてて。
タオルで必死に体を隠して小走りだった自分が、急に可笑しくなってきた。
(先生の言った通り、考えすぎだったなぁ)
手ですくったお湯を頬に当てて、ふぅっと息を吐く。
お湯のぬくもりが、今日のいろんな疲れをじんわり溶かしていく。
任務のこと。空港のこと。
白い花。悠蓮。諏訪烈のこと。
そして――
先生と、ふたりでここに来ちゃったこと。
(……七海さんたち、絶対怒ってるよね……)
申し訳なさと、“先生と一緒にいたい”気持ちが心の中で交差している。
帰ったら、ちゃんと謝らなきゃな。
ふと見上げると、竹の隙間から夜空が見えた。
藍色の空に、星がぽつりぽつりと瞬きはじめている。
(男湯からも、この星空見えてるのかな)
――そのとき。
男湯の方から、カコーン、と桶のぶつかる音が響いてきた。
続けて、ざぶんとお湯が溢れる音。
聞こえただけなのに、髪を濡らしてる先生の姿とか……裸、とかが頭に浮かんできた。
壁一枚向こうに先生がいると思うだけで、顔が熱くなって、変な汗がじわっと出てくる。
(……だめだめだめ! なに考えてるのっ……!)
変な想像を振り払うように、私はあわてて口元までお湯に沈んだ。