【呪術廻戦/五条悟R18】── 花冠の傍らで ──
第5章 「2025誕生日記念短編 魔女は蒼に恋を包む」
「あ、名前入ってる」
小さく刻まれた「Satoru Gojo」の文字を、先生の指がそれをなぞる。
「せ、先生、いつも伊地知さんにペン借りてるから……使ってくれるかなって……」
そんなまじまじと見られると、恥ずかしくなってきた。
「店員さんが、プレゼントなら名前入れると喜ばれますよって、それで……!」
言い終わる頃には、もう顔が真っ赤なのが自分でもわかる。
なんか気まずくて、視線を下に逸らすしかなかった。
そのとき――
ふわっと頭の上に温かい手のひらが降りてきた。
ゆっくりと、優しく、髪を撫でるように滑っていく。
「……これ使うたびに、の顔思い出すじゃん」
「ありがと。大事にする」
顔を上げると、先生はにこにこしながら、ボールペンをくるくる手の中で回していた。
その様子だけで、気に入ってくれたことが伝わってきて、
(……よかった……喜んでもらえてる……)
肩の力がふっと抜けて、小さく笑みがこぼれた。
「やっと笑った」
その穏やかな声と一緒に、頬を撫でる指先。
そのまま、先生が顔を覗きこんでくる。
距離が近い。
(あ、この顔……先生、キスしたいんだ)
でも――
(……今、聞いておかないと……)
視線を一瞬泳がせてから、思いきって口を開いた。
「……あの」
「ん?」
「今日の……夕方、先生が補助監督さんからプレゼントもらってたの……たまたま、見かけちゃって」
先生は少しきょとんとした顔をして。
でもすぐに、「あー」と短く息を漏らす。
「な、何もらったんですか……?」
聞き方が、ちょっとあからさまだったかな。
でも、あの光景がずっと頭から離れなかった。
先生が笑って受け取ったもの。
落ち着かなくなって、スカートの上で指をきゅっと握る。
先生は少しだけ首を傾げて、どこかいたずらっぽく言った。
「あれ、見てたんだ?」
茶化すようなその言い方に、思わずむっとなる。
「た、たまたまです……!」
「はいはい。で、気になっちゃったんだ?」
「……そ、そんなに気になったわけじゃ――」
いや、めちゃくちゃ気になってる。
そのせいで、砂糖を入れ忘れて、スポンジが膨らまなかったんだから。