【呪術廻戦/五条悟R18】── 花冠の傍らで ──
第5章 「2025誕生日記念短編 魔女は蒼に恋を包む」
「む、無理して食べなくていいですから……っ」
「ん〜、やっぱケーキはイチゴだよね」
先生は構わず、どんどん食べ進めていく。
あっという間に、ケーキは無くなってしまった。
「ごちそうさま」
「おいしかった。ありがと、」
フォークを置いて、先生は満足そうに笑った。
(……先生、全部食べちゃった)
それが嬉しくて、また泣きそうで。
でも、信じられなくて。
混乱した頭のまま、思わず口にしていた。
「でも、先生がもらったプレゼントの中に、もっと美味しそうなケーキありましたよ」
綺麗にデコレーションされたホールケーキ。
高そうなブランドのお菓子に、有名パティスリーの箱。
どれもこれも、私の作ったものよりずっと立派だった。
「あんなプレゼントのどこがいいのさ」
「僕に媚びたり、僕との関係を作るために、なんの考えもなしに、“とりあえず高くて見栄えするもの”を贈ってきただけ」
「でも、このケーキは、が僕のことを考えながら作ってくれたんでしょ?」
「僕は、そっちの方が何百倍も嬉しいよ」
「で、プレゼントは?」
「……え?」
不意を突かれて、思わず間抜けな声が出る。
「あるんでしょ? のことだから、ケーキ以外にも用意してると思ってたけど」
「い、いや、それは……でも……」
「ないの? あるの? どっち?」
「で、でも……」
しどろもどろの私を、先生がじっと見つめてくる。
「ほら。もじもじしないで、早く出して?」
完全に逃げ道を塞がれたような気分で、しぶしぶカバンを引き寄せる。
中から小さな箱を取り出す指が、情けないくらい震えていた。
「……あの、たいしたものじゃないんですけど……」
「そ、それで……他の人と比べたら全然……その、値段とか、地味で……」
「?」
「っ、……はい……!」
私はおそるおそる、青いリボンで包んだ小さな包みを先生に差し出す。
先生はそれを満足そうに受けとり、丁寧に包装をほどいた。
「ボールペン?」
そう言って、先生がペンを箱から取り出すと、
青みがかった軸に銀のリングが優しく光った。