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【呪術廻戦/五条悟R18】── 花冠の傍らで ──

第5章 「2025誕生日記念短編 魔女は蒼に恋を包む」


「何、笑ってんの?」

「ううん、何でもないです」



笑いながら答えると、先生はじとっとした目で私を見つめてくる。


すると、私の頬をむにむにしていた手が、ふと止まった。
先生の視線が、すっと横へ流れる。



「あれ、が作ったの?」



先生はそう言って立ち上がり、机の前で足を止めた。
そして、机の上に置きっぱなしになっていた箱へと手を伸ばす。
私が作ったあのケーキの箱。



「……っ、それは……」



先生は気にすることなく、リボンをほどいていく。


中には、スポンジが膨らまず、無理やりデコレーションしたボリュームのないショートケーキ。
形は崩れて、クリームも片寄っていて……
とてもじゃないけど、おいしそうには見えない。


先生は、しばらくじっとケーキを見ていた。
それだけで、心臓の音がうるさくなる。
やっぱり……がっかりしてる。


(こんなの、食べられたもんじゃない、って……)

(……引いてるよね、絶対)

 
涙がまたじわっと滲んだ、そのとき。


ぷっと、吹き出すような笑い声が落ちた。



「こんな可愛いケーキ、見たことない」

「……え?」

 

先生はケーキを見たまま、肩を震わせて笑っていた。
そして、そばにあったフォークを手に取る。



「だ、だめっ! 食べないでっ」

「いただきまーす」

「ま、待って……っ!」

 

あっさりかわされる。
手を伸ばしても届かない。
身長差がありすぎて、ジャンプしても届かない。



「が僕のために作ったケーキでしょ? 食べない理由ある?」



先生はフォークをケーキに差し込み、一口、口に運ぶ。



「うん。新食感だね」

「……!!」



新食感って……
気を遣われてるのがわかる。
むしろハッキリ言ってくれた方がまだマシだ。


先生は私の方にもう一口分を差し出してきた。

 

「はい、も。食べて?」

「え、ええっ……なんで……っ」

「いいの。記念だし」


 
視線を泳がせながら、口を開ける。
ぱく、と一口。



「……スポンジ、もそもそする……」 

「の汗と涙の味がして、うまいでしょ」
 
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