【呪術廻戦/五条悟R18】── 花冠の傍らで ──
第5章 「2025誕生日記念短編 魔女は蒼に恋を包む」
「スポンジは膨らまないし……プレゼントだって、先生がもらったのと比べたら、安物だし、地味だし……!」
「彼女なのに……他の人たちみたいに、先生が喜ぶものわかんないし……!」
「先生、喜んでくれないかもって思ったら……顔合わせるのも怖くなって……っ……」
泣きたくないのに、涙は勝手にこぼれてくる。
「先生には……わかんないですよっ! うぅ、ぐすっ……」
涙と鼻水でぐしゃぐしゃで、俯いた。
これじゃ、ただの八つ当たりだってわかってる。
勝手にひとりでぐちゃぐちゃになって。
大好きな人の誕生日なのに、これじゃ、わたし――
一番喜ばせたい人を、一番困らせてる。
(わたし、今……すっごいめんどくさい子どもだ……)
先生はしばらく、何も言わなかった。
その沈黙が、怖くて仕方なかった。
自分の嗚咽と鼻を啜る音だけが、部屋に虚しく響く。
「……」
静かに名前を呼ばれる。
でも、顔は上げられなかった。
「こっち向いて」
こんなぐしゃぐしゃの顔なんて、見せられるわけがない。
それ以上に、自分が子供すぎて恥ずかしい。
「……やだ、離して……」
「いいから」
言うが早いか、先生の手が私の肩を引いた。
あっという間に、先生の胸元に顔が押し付けられる。
「せ、せんせ……鼻水つく……っ」
慌てて離れようとするけど、先生の腕はぎゅっと強くなった。
「いいよ、そんなの」
先生の手が背中をゆっくりさすって、泣き疲れた呼吸が少しずつゆっくりになっていく。
そのあいだ、先生は何も言わなかった。
ただ、私が落ち着くまで、腕の力を緩めることなく抱きしめてくれていた。
しばらく静かな鼓動に耳を預けていると、先生が小さく息をついた。
「……こう言ったら、は怒るかもしれないけどさ」
「正直、プレゼントなんてどうでもいいんだよ」
それを聞いて、さらに胸がしゅんと縮む。
(……やっぱり……そう、だよね……)
先生なら、欲しいものなんて全部手に入るだろうし。
だから、私のプレゼントなんて――価値なんてないのかもしれない。
(……意味、なかったのかな……)
視界の奥がじんと熱くなる。
その気配に気づいたのか、先生の腕がわずかに強くなった。