【呪術廻戦/五条悟R18】── 花冠の傍らで ──
第5章 「2025誕生日記念短編 魔女は蒼に恋を包む」
(先生の方が、きっと嫌な気分になってる……)
(……ちゃんと、謝ろう)
スマホを握り直して、深く息を吸い込んだ。
(このままじゃ、もっと自分のこと嫌いになる)
涙を拭って、通話アイコンにそっと指を伸ばす。
タップしようとした、その瞬間――
「!」
部屋のドアが、乱暴に開け放たれた。
「――っ!?」
驚きで肩が跳ねる。
目を見開いたまま、ドアの方を振り返ると――
そこには、息を切らした先生の姿があった。
(なんで、先生が――)
スマホを見れば、通話ボタンは押していない。
つまり、自分はまだ電話すらしていない。
「何があった?」
真剣な声だった。
ふざけた調子も、軽口も一切ない。
「……せん、せ……」
「よかった……無事で」
先生が私を強く抱きしめた。
その瞬間、胸の奥にぎゅっと溜めていたものが一気にほどけていく。
自分から突き放したくせに。
でも、この腕に包まれた途端――
ずっと恋しくて、触れたかった温度に、からだが勝手に寄っていく。
しがみつきたくて、離れたくなくて。
自分の先生への気持ちを、どうしようもなく思い知らされる。
(先生……)
だが、その次の言葉が思いもよらない方向から飛んできた。
「誰にやられた? ……まさか、諏訪烈か?」
「――へっ……」
先生の声は低く、研ぎ澄まされた刃みたいに緊迫していた。
「待ち合わせに来ないって時点で、おかしいと思ったんだ」
「“行けない”なんてメッセージまで送って……何か事件に巻き込まれたって、思うだろ普通」
「ま、待ってください……っ、ちが……」
諏訪烈? なんで、その名前が出てくるの?
え、ちょっと待って……
先生、なんかめちゃくちゃ誤解してる!
「だ、誰にも襲われてないです。ほんとに、何もされてない……っ」
「じゃぁ、なんで泣いてんの?」
「それは……」
先生と目が合わせられない。
理由なんて……言えるわけない。
でも、言わなきゃ、先生が誤解したままだし。