【呪術廻戦/五条悟R18】── 花冠の傍らで ──
第5章 「2025誕生日記念短編 魔女は蒼に恋を包む」
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『ごめんなさい。今日、行けなくなりました』
スマホの画面に表示されたその文字列が自分で送っておいて、ひどく冷たく感じる。
(……最低)
(自分から言い出したくせに……)
(なのに、行けないって、何……?)
わかってる。
今さら断る理由なんて、何ひとつない。
でも、どうしても行けなかった。
机の上には、作り終えたショートケーキがぽつんと置かれている。
スポンジは思うように膨らまず、表面も不恰好で――
その上に無理やり絞ったデコレーションは、なんとも心許ない。
全体がつぶれて見えて、まるで縮んでしまった自信みたい。
(……なんで、今日に限って)
(練習のときは、ちゃんと膨らんでくれたのに……)
カバンの中のプレゼントも眠ったまま。
頭をよぎるのは、談話室で見たプレゼントの山。
あの補助監督さんに微笑む先生の顔。
(……喜んでた、よね)
(あんな綺麗な人から、可愛い包装で……)
(それに比べて、私のなんて……)
「……っ」
こみ上げてくる感情に蓋をするように、ベッドに倒れ込んだ。
枕に顔を押しつけて、目をぎゅっと閉じた。
(ちゃんと、お祝いしたかったのに……)
(……こんな自分、嫌い)
目を閉じても、涙は勝手にあふれてくる。
こらえようとしても、どうしても止まらない。
(やだ……泣きたくないのに……)
袖で拭っても、また滲んでくる。
苦しくて、悔しくて、情けなくて……
スマホに手を伸ばし、画面を点ける。
さっき自分が送ったメッセージが既読表示になっていた。
(……先生、見たんだ)
(でも……返事、ない……)
喉の奥がつまるみたいに熱くなる。
(先生、絶対……怒ってる)
(ドタキャンなんて、ひどいことしたんだもん……)
(でも、あんなプレゼント……渡せないよ)
涙が、あとからあとからこぼれてくる。
自分で壊しといて、勝手に傷ついてるだけなのに。