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【呪術廻戦/五条悟R18】── 花冠の傍らで ──

第5章 「2025誕生日記念短編 魔女は蒼に恋を包む」


そして、とうとう――


0:00。


(……送るなら……今……)


けれど、指は動かない。


0:01。
0:02。
0:03。


(……3分なら……自然……だよね)


深呼吸をひとつ。
結局、絵文字や一言付け加えることもなく、
“おめでとうございます”の一行だけ。
仕事中でも、さらっと確認できる程度。
迷惑じゃない……はず……。


(えい……もう、送っちゃえ……!)


送信ボタンを押す。
メッセージが先生とのトーク画面に吸い込まれていく。
既読がつく前に、スマホを伏せて布団に潜った。
心臓の音ばかりが、やけに大きく響いている。



そのとき――



スマホが突然震えた。

 

「……ひっ!?」



驚いて飛び起きる。
画面を見ると、表示されていたのは──



“五条先生”



(えっ……えっ……電話!? なんで!?)


怖いような、嬉しいような気持ちが全部一気に押し寄せてくる。
震える指で、恐る恐る通話ボタンを押した。

 

「……も、もしもし……?」

『やっ、。メッセージありがと~』

「あ、い、いえ……あの、その……」

『てかさ。電話で言ってくれればよかったのに?』

「えっ……で、でも、今日……伊地知さんから“先生は一日外出”って……忙しいのかなって……邪魔したら悪いかなって……」



言いながら、自分でも声が小さくなる。


先生のふっと短く息の音がした。
笑ってるのか、呆れてるのか、わからない。

 

『今ちょうど終わったとこ』

『この歳になると、自分の誕生日なんて忘れちゃうから、メッセージもらえて嬉しかったよ』

 
(……っ)


顔が熱くなって、思わず布団を握りしめた。
その言葉だけで、今日の悩みが全部吹き飛んでいく。
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