【呪術廻戦/五条悟R18】── 花冠の傍らで ──
第4章 「咲きて散る、時の花 後編**」
***
朝の光が、まだ柔らかく裏庭を照らしていた。
蝉の声が途切れがちに鳴いている。
昨日の暑さを引きずるような湿気の中を、私は硝子さんと並んで歩いていた。
(体、まだちょっと……重い……)
制服のスカートの裾をきゅっと握りながら、昨日のことを思い出さないようにと歩く。
だけど、足を踏み出すたびに、鈍い痛みが腰のあたりにじわりと滲む。
無意識にそっと片手でそこを押さえた。
「……平気?」
驚いて顔を上げると、彼女は私の仕草を見ていたらしい。
「向こうに戻ったら、お風呂入って腰を温めるといいよ」
「……はい。ありがとうございます」
頭を下げながら答えると、裏庭に到着した。
そこには、五条さんと夏油さん。
そして、もうひとり、見慣れない男の人がいる。
おそらくあの人が、術師だろう。
「遅いぞ。 、硝子」
先に気づいたのは、五条さんだった。
私を見るなり、彼はにやりと笑いながら、
「、まだ足ふらついてない?」
「……っ……!」
一歩五条さんに近づき、声をひそめて言った。
「誰のせいだと思ってるんですか……!」
五条さんは私の耳元に顔を寄せ、わざとらしく低い声で囁いた。
「……あー、やばい。思い出したら、またムラムラしてきたかも」
「なっ……バ、バカっ!!」
思わず赤面して、制服の裾をぎゅっと握る。
そんな私を見て、五条さんは満足げに笑った。
「やっぱり、朝にもう一回しとけばよかった」
「し、しないです!!絶対に!!」
反射的に声を張り上げた私の横で、夏油さんがわずかに眉をひそめた。
でも、何も言わない。
きっと……触れたらいけない空気を察してくれたんだと思う。