【呪術廻戦/五条悟R18】── 花冠の傍らで ──
第4章 「咲きて散る、時の花 後編**」
翌朝。
高専寮の一室。
(昨日は、むし暑い夜だったな……)
寝ぼけた頭のまま、硝子はごそごそとベッドから這い出た。
(シャワーでも浴びてこよ……朝イチ、冷たい水でリセットしないとやってらんない)
無意識に伸びをして、ドアを開けた瞬間、
「……は?」
硝子の目が、一気に覚めた。
廊下には、そっくりな男が二人並んで座っていた。
一人は、よく知ってる男。
もう一人は、その男を少しだけ大人っぽくした顔をしている。
「……え……ご、五条……?」
戸惑う硝子を前に、二人は同時に顔を上げ、
「「……おはよ、硝子」」
ぼそっと言いながら、二人してあくび混じりに目元をこする。
目は赤く、目の下にはうっすらと寝不足の影。
それなのに、口元にはどこか満ち足りたような笑みが浮かんでいた。
どう見ても、夜通しろくでもないことをしていた顔だった。
硝子はしばらく無言のまま二人を見つめ、ため息をついた。
「聞きたいことは山ほどあるけど……いや、やっぱ聞きたくない」
思わず口から漏れたのは、そんな投げやりな独り言。
そして、恐る恐るもう一人の五条の方を指差しながら、
「もしかして……」
問いかけきる前に、そのもう一人の五条が肩をすくめて答えた。
「11年後から会いにきたよ。硝子、まだお肌がツヤツヤだね」
「……あー……」
硝子はじっとその顔を見つめて、ため息をひとつ。
「うん。五条だわ」
そうぼそっと呟いて、こめかみを押さえる。
「あんた、ぜんっぜん変わってないのね……納得」
五条は口元にへらっと笑みを浮かべた。
「褒め言葉として受け取っておくよ」
「頭痛くなってきた……。てか……」
ちらりとの部屋のドアを見る。
「ちゃん、大丈夫なの?」
硝子の問いに、二人の五条は一瞬顔を見合わせ、
まったく同じタイミングで、ケロッと言った。
「「ちょっと、無理させすぎちゃって」」
「朝方、追い出された」
「怒ったもかわいかったな」
むしろ微笑ましそうに語るその様子に、硝子はふたたび天を仰いだ。