【呪術廻戦/五条悟R18】── 花冠の傍らで ──
第4章 「咲きて散る、時の花 後編**」
「罰ゲームはもういいですけど……」
「それより、二人ともなんでここで寝る流れになってるんですか!?」
必死に抗議する私に、先生が当たり前かのように返す。
「だって、仲を深めるには川の字が基本でしょ?」
「……いや、帰ってください」
呆れ気味に私が突っ込むと、
「いいだろ、もうキスした仲だし?」
空気の温度が、瞬時に変わる。
五条さんの突然の暴露に、先生のこめかみのあたりがぴくりと動いた。
「………………は?」
「キスしたの?」
急激に温度が低くなった声で、先生が言った。
その目は笑っていない。
「へー。僕がいない間に、随分進んでたんだね」
……やばい。これ、先生の機嫌が悪くなったときのだ。
私の背筋を、冷たい汗が伝った。
(ど、どうしよう……!?)
なんとか声を出そうとしたその時、五条さんがあっけらかんとした声を出した。
「いいじゃん、キスぐらい。俺も“五条悟”なわけだし? 問題ある?」
悪びれた様子もなく、五条さんが肩をすくめる。
その顔には、まるで挑発するような笑みが浮かんでいた。
「……もしかして、妬いてんの?」
私が止める前に、五条さんが先生に向けて、ちらりと目を細める。
「顔がこわーい。あーあ、未来の俺って、独占欲強くなっちゃう感じ?」
その言葉に、空気が一段と張り詰める。
そして、五条さんがわざとらしく私の方へ振り返った。
「なあ。俺とのキス、良かっただろ?」
(ひ、ひぃっ!?)
(な、なんで私に振るのぉぉぉ!?)
咄嗟に答えられず、口がパクパクと空を切る。
どうしよう、何を言っても地雷。
何を答えても、ろくなことにはならないのが目に見えてる。
(先生……)
ちらりと視界の端に映る、先生の気配。
沈黙している。
でも、だからこそ余計に怖い。
それがなによりも怒ってるって、伝わってくるから。
「せ、先生、あのね――」
必死にその場を宥めようと言いかけた言葉は、先生のため息にかき消された。
「……僕の若い頃って、こんなに調子に乗ってたっけ?」