【呪術廻戦/五条悟R18】── 花冠の傍らで ──
第4章 「咲きて散る、時の花 後編**」
「……あれ?」
手をかけたノブが、回らない。
(おかしいな、鍵なんて……閉めてないはず……)
もう一度、ぐっと力を込める。
でも、やっぱり開かない。
「……え? え? なんで……」
私が戸惑っていると、背後で足音が一つゆっくりと近づいてきた。
「呪力操作で開けられないようにしてるから、硝子は入ってこれねーよ」
低い声が耳元で囁かれる。
「っ!?」
振り向く間もなく、私のすぐ後ろで五条さんがドアに片手をつく。
そして、もう片方の腕が私の腰にそっとまわされた。
「逃げんなよ、」
声が近い。
鼓膜をくすぐるくらいの距離で。
顔を見なくてもわかる。
五条さんがいたずらっ子みたいに笑ってる。
「せっかく、こうして出会ったんだし、ちょっとくらい遊んでくれてもいいじゃん」
心臓の音がどくん、と跳ね上がる。
「で、でも……」
何か言おうとしても、うまく言葉にならなかった。
背中に触れる体温、腕の感触、声の響き。
全部がずるい。
突如、鼻先が私の首筋に触れた気がした。
「ひゃっ……!?」
びくんと肩が跳ねる。
耳のすぐ後ろ、うなじのあたりにひやりとした吐息がふれた。
「……いい匂い」
「ちょ、ちょっと……何して……!」
振り向こうとするけれど、ドアに手をついたままの彼が逃がしてくれない。
「匂い嗅いだだけだろ」
その声音にはわかっていてやっている確信犯の色があった。
「のこと、知りたいんだよ。匂いも、体温も声も……全部」
「な、なに言って……」
顔が熱い。耳までじんじんする。
背中に感じる体温に、鼓動がばくばくと早まっていくのが自分でもわかる。
「――僕も混ぜてよ」
いつの間にか先生もすぐ背後に来ていて、
「僕も、と遊びたい」
耳元すれすれで囁かれた声に、肩が震える。
「だから、三人でしてみよっか」
「さ、三人で……!?」
声が裏返る。
(ま、待って……三人で……するって……まさか)
(そんな……ど、どうやって!?)
私の脳内で、ありえない光景がぐるぐると暴走を始めていた。