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【呪術廻戦/五条悟R18】── 花冠の傍らで ──

第3章 「咲きて散る、時の花 前編」


影がひとつ、揺らめいたと思った次の瞬間――
時屍獣はすでに五条さんの背後に現れていた。

 
(はやい……っ!)

 
思わず息が止まる。

 
時屍獣は影のように歪んだ体を捩らせ、音もなく迫ってくる。
空間すらねじれるような異様な速度。

 
だが、五条さんは振り向きもせず、

 

「……遅いな」

 

そう呟き、左足が半歩引かれた。
そして、五条さんの体が一閃する。
まるで気配そのものが刃に変わったかのように、鋭く、速く。
振り向きざまの踵落としが、時屍獣のこめかみに炸裂した。

 

「グギャッ!!」

 

時屍獣は壁に叩きつけられる。
だが、歪んだ体がねじれ、まるで“なかったこと”のように元に戻っていく。

 

「チッ、術式で時間を巻き戻してるな……」

 

五条さんの声は低く、冷静だった。

 

「こいつ……“攻撃を受ける前の過去”に、自分を戻してやがる」

 
 
周囲の空間が軋み、建物が崩れ始める。

 

「ひゃあっ……!」

 

崩れた足元に引きずられ、私は転びそうになる。
けれど、彼の手が私の首根っこをぐいっと掴んだ。



「えっ、ちょっ――」



言いかけた次の瞬間、地面がふわりと遠ざかる。
五条さんはそのまま空中を移動し、建物のすぐ外にある木々の間、比較的安定した足場に私を降ろした。

 

「お前はここで見てろ」

「こいつは俺が祓う」

 

そう言い残して、五条さんは再び身を翻した。 


時屍獣が再度咆哮を上げる。
時間の歪みと共に跳躍し、牙のような腕を振り下ろした――
その瞬間。


風を裂いて、五条さんの姿が消えた。
目にも止まらぬ速さで、時屍獣の背後に回り込んだ五条さんが右足で蹴り飛ばし、続けざまに肘で首を撃ち抜く。

 

「グォアッ!!」

 

呪霊の腕が振り下ろされたが、すべて無下限術式により寸前で止まる。
まるで、世界が五条さんに触れることを許さないかのように。

 

「ここ、弱いんだ?」



その掌がすっと呪霊の胸元に触れた。



「術式順転――蒼」

 

時屍獣の体が音を立てて引き裂かれた。
胸元がえぐられ、呪力の流れが一気に崩壊する。

 

「グォオオアアアアアアアッ!!」
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