第5章 それは瞬く星のように
「はい、お姉ちゃん、これ使って」
だが、掛けられた言葉は白失の予想とは真逆だった。
その声にはたと顔を上げると目の前には赤い羽根を差し出す少年。
「……こ、れは」
「ホークスの羽根。お姉ちゃん、さっき欲しいって言っとったけん」
よく見ると彼の鞄にはホークスのサインが手書きされている。
きっとホークスのファンなのだろう。
そんな少年にとってこの羽根はとても大事にしたいもののはず。
ホークス本人ならともかく見ず知らずの他人には譲り難いものではないだろうか。
「ですが、大切なものなのでは?」
「ホークスを助けたか。こんなんになって、自分にも何かできないかって、みんな言っとーと」
「みんな……?」
白失が疑問符を浮かべていると、後ろから複数の足音が。
振り向くと目の前の少年と同じ年頃の子供達が駆け寄ってきた。
「お姉ちゃん、これあげる」
「わたしも!」
「おれの分もあげる」
「あげるー!」
2枚、3枚、4枚と白失の手に羽根が載せられていく。
届かなかったと思っていた白失の言葉はこの子達には確かに届いていたのだ。