第5章 それは瞬く星のように
・
・
・
白失は弱々しい足取りで校庭の隅にある木の下に来ると、呆然と足を止め、ずるずると座り込んだ。
批難の波に抗うことはとても難しい。
……私、結局何もできませんでした。
あなたを助けたかったのに、
どうすることもできませんでした。
私のような人間がどうにかできると考えるなんておこがましかったんです。
私の言葉なんて誰にも届かなかった……
無力感に打ちひしがれていると、パタパタと足音が近づいてきた。
「あ、いた!公安のお姉ちゃんいたと!」
子供の声。
また何か言われるのだろうかと暗い気持ちが湧き上がり、膝を抱えて顔を埋める。
……こちらに来ないでください。
……こちらを見ないでください。
……私を見つけないでください。
ごめんなさい。
もう何もお願いしません。
不躾なことも言いません。
波風も立てません。
気分を害さないよう二度とあなた達の前に姿を見せないようにします。
だからどうか責めないでください。