第5章 それは瞬く星のように
白失が向かった先は士傑高校、西日本で最大規模の避難所だ。
公安として避難所の運営状況調査のために赴いたというのも目的の1つだが、もう1つ個人的な目的があった。
雄英高校は主に東日本の避難者を受け入れていることもあってほとんどいなかったが、ここならきっといる。
……福岡から避難してきた人々が、
到着してすぐ高校側の職員に運営状況を尋ねる傍ら福岡からの避難者が集まる場所を聞き、足早にそこへ向かう。
だが、いざ声をかけるとなった段階で白失の足は止まってしまった。
……怖い……
公安職員の身分を明かして、私の話を聞いてくれるだろうか。
避難を余儀なくされた事態を追及され、こちらの言葉を聞き入れてくれないのでは?
そもそも私なんて相手にされないんじゃ……?
次々と押し寄せる不安の波。
無意識にスーツのポケットにしまった1枚の羽根に触れる。
最初は悪人の自分が悪さをしないように見張っていてほしいという思いからもらった羽根だった。
でも今はお守りのようになっている。
……これは敵と戦うホークスには絶対に必要なもの。
でも彼には時間がない。
だから、私がやらないと……!
大きく深呼吸して声を張る。
「私はヒーロー公安委員会所属の忘野 白失です。皆様にお願いがあります」
まず数人が立ち止まって白失を見ると、周囲の人間も集まってくる。
「皆様の中にウィングヒーロー ホークスの剛翼をお持ちの方がおられましたら、譲っていただきたいのです」
“ホークス”という言葉にざわめきが起こる。