第5章 それは瞬く星のように
たとえ起き上がれなくても、もう羽が生えてこなかったとしても、まだ個性は使える。
潜入捜査が始まる前に白失に渡した1枚。
ずっと彼女の心音を拾っていたその羽根を動かし、彼女の頬を伝う涙を拭った。
「……アメリカでは日本より再生医療の研究が進んでいます。それならきっと……!」
『落ち着いて、白失さん。俺は大丈夫です』
端末から機械音声が発せられる。
『俺1人だけ抜けてアメリカに行く訳にはいきません、そんな時間もないですし。ヒーローの多くが負傷し、公安も機能停止寸前の今はオール・フォー・ワンや死柄木にとってチャンスだ』
「ホークスは戦い続けるのですね……」
『はい、俺はまだヒーローやめるつもりはないんで』
「……分かりました」
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白失が病室を出た後、ホークスは手元のメモに視線を落とした。
盗み見るのは簡単だったろうに彼女は見なかったのだろう。
そこに短く書かれた目良の指令は……
“自由に飛びなさい”
ただでさえ幹部がごっそり抜けて公安は人手が欲しいはずなのに、まさかこんな指令が来るとは。
会長代理である今しかできないであろう指令に目良の心意気を感じた。
自由に飛んでいいのなら、まずは―……
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