第1章 光を厭い 光に憧る
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―ヒーローごっこしようぜ!お前は敵な―
幼い頃の記憶だ。
いつもいつも敵役にされた。
たまには私もヒーロー役をやりたかった。
でもそう伝えたら、皆に一蹴された。
―お前、何言ってんの?―
―お前の親、敵だったんだからヒーローになれる訳ねぇだろ!―
―そうだそうだ、敵の子供がヒーローなんておかしい!―
―泥棒敵の子供!お前が悪さする前にこらしめないとな―
私は敵以外あり得ないのだと。
私以外の皆、大人までもが口々にそう言うから、いつからかこう思うようになっていた。
これは“罰”なんだ。
両親は逮捕され、刑務所に入れられたのに、両親の窃盗に加担していた私は何の罪にも問われなかったから……
だからここで罰を受けているんだ。
悪いことをしたから、皆から悪く言われて当然なんだ。
私はヒーローのいる世界にいてはいけないんだ。
―あっ!ヒーローに変身して悪さする敵ならいいんじゃね?―
―いいじゃん!―
―おい、早くやれよ!ヒーローに変身する悪い奴!―
私が悪いことをすると疑わず、むしろ望んでいた彼ら。
そして、彼らの望む通り、私は罪を重ねる。
無許可で他人に個性を使うことは犯罪だと教わっていたのに、日々の罰に耐えることができず私は個性を使った―……
……何故、今こんなことを思い出したんだろう?