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それは瞬く星のように【ヒロアカ】

第1章 光を厭い 光に憧る




「……子供同士であれば私もそこまで気に留めなかったかもしれませんが、周囲の大人が幼い彼女を助けることも彼女をいじめた子を諫めることもせず、むしろ増長させていた。異様な光景でした」

目良の話にホークスは眉を顰めた。

子供は大人をよく見ている。
大人が彼女を虐めるところを見て、あるいは悪く言うのを聞いていじめのターゲットにしたのか。

では学校や児童養護施設の関係者が彼女のことを無視していたという資料は誤り?


ホークスの疑問を察したかのように目良が続ける。

「ですが、両親と同じく施設職員、学校教諭、クラスメイト達は彼女のことを全く覚えていませんでした。明らかにおかしいですよね、おそらく忘野さんが個性を使ったんだと思います」

「でもあの個性で関係者全員の記憶を消すなんてとても現実的じゃないでしょ」

消せる記憶は彼女が触れた時間分だけ。
数年分の記憶を消すことは不可能に等しい。

「誰にも明かしていない別の効果があるのではと考えています。例えば消す記憶の範囲を限定すればより短時間で消去できるとか」

「成程……」

相変わらず目良さんの観察眼は鋭い。


「それどころではないと思いますが、彼女のこと、気にかけておいてもらえると助かります」

「……目良さんの方がよくないですか?」

これから敵連合に潜入すると公安への出入りは最小限になる。
そうなれば彼女と会話する機会はほとんどなくなるため、それよりは近くにいる目良の方がと考えた。

実際、自分が10代の頃は本当に彼に助けられたから。


しかし、目良から返ってきたのは意外な言葉だった。

「忘野さんはああ見えてヒーローが好きなんですよ。きっと啓悟君になら心を開いてくれます」


“彼女を助けてほしい”


言外にそう頼まれた気がした。


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