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魔王之死刀

第12章 ・克己(注…R18)


 しかし、その大きさと綺麗に顕になっている太い先端に、彼女はうっとりと見惚れ、畏怖する様に感嘆した。

​「凄い……大きい……それに、なんて綺麗な形なの……」

​「……そんなに見るんじゃねえよ……落ち着かねえだろうが……」

​ そう言い苦笑する彼の瞳は驚く程、冷静だった。
 淫魔の妖艶な視線。
 普通の男なら、それだけで理性が崩壊してしまうのだろう。
 だが彼は、自分の呼吸と鼓動を整えつつ、彼女を冷静な目で見詰めていた。
 リリムがその白い指先で彼の手首を撫で上げた瞬間、ゾロの背筋に『熱』が走った。
 それは快楽……と言うより、ゾロの闘争本能を刺激する『魔力』の侵入だった。

「……貴方の体の渇きと飢えが、流れ込んで来た……」

 リリムは彼の手首を優しく撫で、包み込む様にそっと掴んだ。

「……初体験は十八才の時……そして最後に抱いたのは、一年位前……ニンゲンの看護師さん……その時に、抱き方を教わったのね……」

 過去を暴く、艶めいた囁き。
 ゾロは、嘗て左目の傷を癒した病院……看護師と過ごした熱い一夜を思い出す。
 だが記憶に浸る隙は、一切見せなかった。

「……何でも判んだな、淫魔ってのは……」

「私達、淫魔族は……男の人でも女の人でも、その『肉体』に触れると、判るの。経験も……欲望の形も、どんな人が、好きなのかも……」

 リリムは更に体を寄せ、ゾロの強靭な胸板に顔を埋めた。
 甘い息が彼の素肌に触れる。
 獲物を絡め取ろうとする魔性の罠。
 しかしゾロは、彼女を抱き寄せる腕の力を緩めない。
 どれだけ内面を覗かれても、全てを支配される積もりは、微塵もなかった。

(……おれの魂の首根っこは、死んでも掴ませねえ……)

 ​だが、リリムはその指先でゾロの左胸……鼓動の核心を突いた。

「……貴方のここ……凄く強くて、でも少し、寂しい音がする……」

 ゾロの呼吸が、一瞬止まる。
 胸の奥を直接素手で掴まれた様な、言葉にし難い感覚に陥った。

​(……落ち着け。呼吸を乱すな……)

 リリムのその姿は、獲物に甘える魔性の雌猫。
 しかし、彼女が狙った『獲物』の正体は、余りにも危険過ぎる『野獣』。
 彼女はその事に、まだ気付いていなかった。
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