第12章 ・克己(注…R18)
ゾロは教えられた通りにカードキーをリーダーに翳し、自分の部屋へ足を踏み入れた。
部屋に入ってすぐ右手の壁にスロットを見付けると、そこにカードキーを差し込む。
一瞬で、部屋が柔らかな光に包まれた。
ゾロは思わず天井を見上げる。
(この世界にゃ何でもあるんだな……考えた奴、マジで凄えな……)
感心しながら二十畳程の室内を見渡す。
すぐ左手にバスルームとトイレ、右にクローゼット。
そのクローゼットから少し離れた壁際に、小さな冷蔵庫とテレビが並ぶ様に置いてあり、その前にガラステーブルとクリーム色のソファー、一人掛けの椅子が整然と置かれていた。
部屋の左側にある低い仕切りの向こうにはダブルベッドが一つ。
大きな窓の外には、ビル群の明かりが光っている。
ゾロは窓際に行き、カーテンの隙間から外を覗く。
「……夜も眠らねえ街、か」
独り呟き、カーテンを閉めた。
ソファに腰を下ろし、徐にテーブルの上にあるリモコンを手に取る。
(このテレビって奴……さっきのバーにあった奴より、随分小せえな)
何気なく電源ボタンを押すと、テレビが光を放った……その瞬間、ゾロは驚愕した。
画面の中で、金髪の女と腕にタトゥーを入れた大男が、裸で絡み合っているシーンが映し出されたのだ。
男に後ろから激しく責め立てられている女が、艶めかしい喘ぎ声を上げている。
「……な、な、な、何だこりゃあーっ!!!」
ゾロは顔を真っ赤にさせつつ、リモコンのボタンを連打した。
映像が切り替わる。
映し出されたのは、緑の芝の上で、一つのボールを追い掛ける男達の姿。
地鳴りの様な歓声と、ボールの打撃音が、スピーカーから溢れ出す。
「……び、び、ビックリさせやがって……」
大きな溜息を吐き、胸を撫で下ろしながらテーブルの上の番組表に目を遣ると……そこには『特別無料配信・SEXY ADULT NIGHT(18禁)』の文字が。
「……おいおい、この世界は……何でもアリかよ……」
ゾロは思わず、右手で頭を抱える。
彼は、ふと、思い出す。
十五の頃に『男なら受け取れ』と、村でも有名な変態親父に強引に渡された『一冊の雑誌』を……。
年頃のゾロには、刺激が強過ぎる一冊であった。
渡された日の夜、彼は生まれて初めて、独り快楽に身を委ねた。