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魔王之死刀

第11章 ・東京


 ギターを静かにスタンドに戻し、カウンターへ歩く彼の耳には、まだあのギターの音が残っている。
 それは戦場の剣の様に、強く響く戦いの音だった。
 食事の最中の話題も、ずっとギターだった。

「さっきのギタリストの弾き方な、あれ真似すんなよ」

「あ?なんでだよ……」

「あれは荒過ぎるんだ。弦はすぐ切れるし、手首も壊す」

「……あいつにしか出来ねえって事か」

「そう言う事だ。基本は外すな、それだけだ」

「おう。ちょっと本気でやってみるよ」

「流石だな、剣豪。そう言う顔してる時のお前は、本当イケてるぜ」

 ロキの言葉に、ゾロは少し照れた様に笑った。
 まだ思う様な音は出せない。
 ……だが、手応えは確かにあった。
 時間を掛ければ、あのギタリストに似た音も、きっと自分のものになる。
 ゾロはそう確信していた。
 夜九時過ぎ。
 ゾロとロキは店を出た後も、ギター談義に花を咲かせた。
 妙に明るい、トウキョウの夜空。
 無数の灯りが地上を埋め尽くし、その光が空を照らしている。
 ゾロは、ネオンの眩しさに思わず目を細める。
 ホテルへ戻ると、フロントで預けた荷物と部屋のカードキーを受け取った。
 ゾロはロキにカードキーの使い方を教わりつつ、エレベーターで六階に上がり廊下を進む。

「六〇七号室は……こっちか。Brotherはここだ、六〇六号室」

 ロキが親指で目の前のドアを指す。

「ロキ、今日は色々ありがとな」

「礼には及ばないぜ、Brother。明日の朝、八時半にまたここで。ゆっくり休めよ」

「ああ……ロキもな。おやすみ」

「Good night, Brother!」

 ロキの軽い足音が遠ざかる。
 ドアの開閉音が、ゾロの耳に届いた。
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