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【ヒロアカ】re:Hero

第14章 仮免の向こう側【R18】


巨大な体育館みたいな試験会場の扉をくぐった瞬間、空気が少しピリッと張り詰めた。

全国から集まったヒーロー候補生たちのざわめきと視線が、一瞬だけ私にも向けられる。

『……ここに来るまで、あっという間だったな……。』

二週間前まで、あんなふうにみんなと笑って訓練して。
夜には、屋根の上で啓悟に捕まって――なんて、今は思い出しちゃだめだ。

私の視線の先には、試験官が立っている。

モニターに映し出された試験概要が、会場の空気をさらに引き締めた。

【仮免一次試験】
条件は三つ。
胸に三つのターゲットを装着し、それを奪われたら失格。
自分以外のターゲットを三つ以上奪えば通過。
通過枠はたったの100名。

『一瞬の判断と、一瞬の隙も許されない……。』

隣を見れば、焦凍が静かに腕を組んで前を見据えてる。
少し離れて勝己が肩を回しながら、周りを威圧してるのがわかる。

いつもは心強い二人も――
この場に立った瞬間、私はなんだか自然と一人で挑みたくなった。

『……星野 想花として、ここに立つなら……』

風の音が好きだ。
背中に翼を展開して空を切ったときの感覚が、一番私を自由にしてくれる。

『やるだけ。全部やるだけだ。』

試験官の声が響く。

「仮免一次試験――開始!!」

その瞬間、みんなが一斉に走り出す。

私も地面を蹴った。

けど、一歩目で誰とも並ばなかった。
誰かと組んで背中を預けるのもいいけど――今は違う。

『……行こう。』

風が髪をはらって、背中の翼が夜明け前の空気を切り裂く。

見せてやる。
――私の、ヒーローとしての本気を。
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