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【ヒロアカ】re:Hero

第13章 この手が届くうちに【R18】


想花side

『……あったかい……』

ホークスの腕の中。
あの日、いつかの夢で見た光景が、現実として目の前にあった。

ずっと、追いかけるように、届かなくて。
何度も叫んでも、返ってこなくて。
心のどこかで、もう二度と会えないかもしれないって、そう思っていたのに。

「想花……!!」

震える声が、耳元に落ちてくる。
掠れるほどに低くて、それでも真っ直ぐな、私の名前。

『……ほんとに……ホークス、なの……?』

私の声も震えていた。
でも、もう気丈に振る舞わなくていいのかもしれない。
張り詰めていたものが、一気にほどけていく。

「俺だよ……お前のこと、ずっと探してた」

彼の声が、ぐしゃぐしゃに崩れていく。
プロヒーローとして、誰よりも速く、誰よりも遠くを見てきた人が――
今だけは、私のことしか見ていなかった。

その背後には、焦ったように駆け寄ってくるみんなの姿も見える。

「想花……!」

「無事か……!!」

「てめっ、勝手に消えてんじゃねぇよ……!」

焦凍、緑谷くん、勝己……切島くんも――
みんな、私のために、ここまで。

『ごめん……私……』

言葉にならない。
何を言っても足りないし、何を言っても胸が痛くなる。
だから私は、ただ――

『……ありがとう』

そう、小さく呟いた。
誰の顔も、涙で滲んで、よく見えなかったけど。

それでも、胸の奥が、ようやく“帰ってこられた”って叫んでる。

(私は、ここに戻ってきた……)

もう一度、やり直せる気がした。
傷ついて、壊れかけた私でも。
この温もりがあれば、きっと――
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