第13章 この手が届くうちに【R18】
『……みんな……』
目の前で、必死に戦う彼らの姿。
血だらけになって、傷だらけになって、それでも私を――迎えにきてくれた。
「想花!! 立て!! おまえはそんなヤワじゃねぇだろ!!」
勝己の声が、心臓をぶち抜いたみたいに響く。
「君を……君だけは、絶対に守るって、誓ったんだ……!!」
緑谷くんが、涙をこらえて、それでも前に進もうとしてる。
「想花! 諦めるな……っ、おまえはひとりじゃない!」
切島くんの声に、胸が熱くなる。
そして――
「想花……お願いだから。俺たちを、見てくれ」
焦凍の静かな声が、世界の中心みたいに響いた。
その声が、確かに私を――呼んでた。
『……みんな……どうして……』
私なんかのために、ここまでしてくれるなんて。
なのに私の身体は、動かない。
荼毘の腕の中で、どこにも行けない。
「おい、動くな」
背後から落ちる低い声。
熱と、執着の重さに、身体が縫い止められる。
「行かせるわけねぇだろ。……おまえは、俺のもんだ」
その言葉に、胸の奥が軋んだ。
でも、それ以上に――
『……嫌だ』
ふるえる唇が、かすかに動いた。
『……帰りたい……!』
そのときだった。
――カラン。
首元で、ペンダントが揺れた。
ホークスの"羽根"で作ったペンダント――たったひとつのお守り。
『……お願い……“帰して、みんなのところへ……彼のところへ”……!』
心が叫んだその瞬間、
ペンダントが、光を放った。
まばゆい白い光が、夜の闇を切り裂くように弾ける。
「……!? 光……だと……!?」
荼毘の腕が、わずかに緩んだ。
私は、迷わず、最後の力を込めて叫んだ。
『――お願いっ!!』
次の瞬間、勝己と、焦凍と、緑谷くん、切島くん、
そして――私の身体ごと、光が包みこんだ。
目を閉じる一瞬、
焦凍が――私に手を伸ばしてた。
『焦凍……ありがとう……』
それが最後に映った景色。
そして私は、
あの光の中で――
「帰った」んだ。
私の、大切な人たちの元へ。