第13章 林間合宿
ドスン!!!
峰「ふぎゃっ!!!!!」
ズバァァァァァァァァァァァン!!!!!
水柱が盛大に上がった。
上「おい!?峰田!!?」
飯「なっ!?ボールが……!!」
峰「う……うへ……」
直撃を受けた峰田は、鼻の下を伸ばしたまま白目を剥いて、仰向けでぷかぷかと水に浮かんでいた。
「えっ!?ご、ごめん!!」
耳「ナイスショット!」
茶「うっわ、あんなピンポイントで当たるんだ……逆にすごくない?」
蛙「狙ったの?」
「ちがっ……ちがうよ!?ご、ごめんモギモギ…」
上「……いいって、峰田だから」
飯「むしろ喜んでる気が……」
耳「てか峰田のことモギモギ呼びなの笑う」
峰「……も、もっと……お願いします……」
「怖っ……」
A組女子たちが爆笑し、男子たちはそれを遠くから見守りながら騒然としていた。
──はふっと息をついて、笑った。
それはまるで、誰かに許されたような、
少しだけ、前を向けるようになった、そんな笑顔だった。
──そのとき。
轟は、ふと立ち止まったように感じた。
轟(……ああいうふうに、笑っててほしい)
自然にそう思った。心の底から。
けれど。
轟(……なんで、俺……)
そんな自分の感情に、戸惑う。
別に誰かを好きになったことなんて、ない。
それでも、今笑った彼女の顔を、もっと見ていたいと。そう思った。
轟(……変だな、俺)
心が静かに波立つ。
一方で。
爆豪は、腕を組んだまま、不機嫌そうにその光景を眺めていた。
爆(……チッ、なに笑ってんだよ)
あの女が、みんなに囲まれて、安心したように、笑ってる。
爆(……んな顔、今まで見たことねぇ)
まるで別人みてぇに、力が抜けて、柔らかくて。
それがなぜか、イラついた。
爆(……なにが安心だ)
言葉にならない苛立ちが胸を刺す。
その苛立ちの理由に、自分でも気づかないふりをしたまま、視線をそらした。
──その日、プールには笑い声が溢れていた。
誰かのトラウマが、少しだけ薄れて、
誰かの心に、小さな波紋が広がった。
それは、きっとこの夏がくれた、最初の一歩だった。