第9章 雄英体育祭
緑「みんなが初めてヴィランを目の当たりにして、及び腰になってしまう中で、ただ1人何度も立ち向かう姿を…僕は見た!あの時の君は……誰よりもヒーローだったんだ!」
観客席が息を呑む。
緑「そんな君を否定する奴が…生きる意味がない、価値なんかないって否定する奴がいるなら……」
拳に力がこもる。
緑「僕が、許さない!!」
その言葉に、の動きが止まる。
「はっ………」
緑「例えそれが、繋原さん自身だったとしても!」
ブンッ!!
風を裂く音とともに、デクが飛び出した。
緑「SMASH!!」
バンッ!
空気が弾ける音とともに、拳が繋原に迫る。
繋原はとっさに地面を崩し、退避しようとするが、すでにそのタイミングでは間に合わない。
「う……ぁっ!」
直撃ではない。
だが、その余波で繋原の体が大きく吹き飛ばされた。
場内が沈黙し、二人の様子が見えないほどの砂埃がたった。
やがて――砂埃が晴れると
ドサッ
マ「た、倒れたァ!!繋原、ダウン!!」
マイクの声が鳴り響いた瞬間、観客席が一斉に沸いた。
観客1「あいつ……すげえ……!」
観客2「いや、どっちもすげえよ……!」
観客3「こんなバトル、1回戦でやるの反則じゃん……!」
場内の声が渦を巻く中、相澤はそっと目を閉じて小さく呟いた。
相「……よくやった、両方とも」
繋原はうつぶせで、薄く笑った。
「……ありがと、緑谷くん……」
デクにしか聞こえない声でそう呟くと、視界がかすれる中、彼女はそのまま意識を落とすのだった。