第29章 「善意の逆理 Ⅱ**」
はだけた病衣の隙間に顔を埋める。
触って欲しそうにつんと尖り始めた先端に、舌を這わせた。
「……っ、ぁ、んっ……!!」
ちろりと舐めてやると、僕の服を握りしめる指にぎゅっと力がこもる。
意識ないのに、気持ちいいんだ。
身体は僕のこと覚えてるってやつ?
かわいい。
舌で転がすだけじゃ足りなくて。
そのまま、尖った先端を唇で挟み込んで、ちゅうっと音を立てて吸い上げた。
「……あ、ぁっ、や、ぁっ……!!」
僕の髪に細い指が絡みついて、すがりつくように引っ張られる。
(……あー、やば)
の体温が、触れている場所からじわじわ戻ってくる。
その熱に煽られるみたいに僕の身体も反応していた。
肌が触れ合うたび、どちらの熱かわからなくなっていく。
僕はさらに深く咥え込み、唾液を絡めながら強く吸い付いた。
反対側は指で包むように触れ、硬くなった先端を転がすように刺激する。
「ん、ぁ、……っ、あ……」
もっと。
もっと鳴いて。
それで、早くいつもみたいに先生って呼んでよ。
どんなに甘い声を聞いても。
その目が僕を見ていないだけで、こんなにも虚しい。
恥ずかしがりながら、僕を一生懸命受け入れる。
どうしようもなく、あの君が欲しくなる。
名残惜しく唇を離すと、の右手が僕を探すように力なく空を切った。
(……)
心は戻っていなくても、身体は僕を求めてくれている。
愛おしさが込み上げて、どうにかなりそう。
その震える小さな手を、左手でそっと包み込む。
指の間に自分の指を滑り込ませて、深く絡め合わせた。
僕は絡めたその手を引き寄せて。
手の甲に、指先に。
何度もキスを落とす。
「大丈夫。……とびきり気持ちいい方法で、治してあげるから」
甘く宥めるように囁きながら、僕はの下着の縁に指を引っかけた。