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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第29章 「善意の逆理 Ⅱ**」


パタンと医務室の扉が閉まる音が、深夜の廊下に大きく響いた。


白衣のポケットに手を突っ込んで、私は重い息を吐き出した。


扉の向こうのベッドでは、が眠っている。
いや。
正確には、強い薬で無理やり眠らせているという方が近いか。


(あれを見たら、五条がどんな顔をするか……)


苛立ちと疲労を誤魔化すように、タバコを吸おうと思ってポケットを漁っていると。



「硝子さん」



振り返ると、釘崎が立っていた。
そこには、いつもの強気な顔はない。



「……、大丈夫なんですか」



声がわずかに震えている。
無理もない。
あんな状態の仲間を見て、平気でいられないだろう。



「命に別状はないが、ただ状態はよくないな」



釘崎の顔が、すぐに強張った。



「……っ、反転術式で治せないんですか」



当然の疑問だ。
普通の術師なら、私の反転術式で治癒できる。



「は、反転術式が効きにくい。彼女の力のせいだろうな」

「そんな……」



俯いた彼女の顔に、暗い影が落ちた。



「今は私が見てるから……今日はもう休んだ方がいい」

「あの細井という教師は、高専で拘束したそうだ。学内で出回っていた『Re:bloom』の方も、これで食い止められたはずだ。お前たちは、よくやったよ」



慰めになるかはわからない。
けれど、今はそう言うしかなかった。


釘崎は、じっと床を見つめたまま動かない。
ぎゅっと制服のスカートを握りしめる手がかすかに震えている。
自分がここにいても、の役には立てない。
その理不尽な悔しさを、必死に噛み殺しているのだろう。



「……わかりました。あとは、よろしくお願いします」



そう言って、釘崎は重い足取りで歩き出した。
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