第25章 「可惜夜に眠る 番外編」
【おまけ①】
※22章の中編ラスト、五条先生がちゃんを冷たく突き放した直後のお話です。
虎杖くん視点です。
「いってて……っ」
合宿所に戻ってきた俺は、伊地知さんに連れられて、仮設の医務室で硝子さんに足の治療をしてもらっていた。
「これで済んだのが、奇跡だな。運が良かった」
「うっす。あざっす……」
反転術式特有のむず痒い感覚に、思わず顔をしかめる。
その横では、伊地知さんがハンカチで額の汗を拭きながら、落ち着かない様子でウロウロしていた。
(……それにしても、、大丈夫かな)
今にも泣き出しそうな顔してたし。
途中でこいつ(宿儺)も余計なこと言うし。
(俺がもっと上手く立ち回っていれば……!)
自分が不甲斐なくて、足元に視線を落としてため息をつきかけた、その時だった。
ガラッ……。
医務室のドアが、幽霊でも入ってきたのかってくらい力なく開いた。
そこに立っていたのは、見慣れた黒の目隠しをした長身の――
「……先生?」
呼びかけても、返事はない。
先生はゾンビみたいな足取りでふらふらと部屋に入ってくると、そのまま俺の隣の空いてるベッドに、バフッ!!と顔からダイブした。
「えっ、ちょ、先生!? どうしたの!?」
慌てて立ち上がろうとする俺を、硝子さんが「動くな」と手で制する。
硝子さんはベッドでぐったりしている先生を見て、大きくため息をついた。
「……で。何をやらかしたんだ、お前は」
先生は枕に顔を埋めたまま、くぐもった声を漏らした。
「……やっちゃった。言いすぎた。絶対言いすぎた……僕、あの顔一生忘れられない……」
「は?」
頭にクエスチョンマークが浮かぶ。
“言いすぎた”って、何を……
あっ、もしかしてに説教したとか?
今回の件、だけが悪いわけじゃねーだろ。