第21章 「可惜夜に眠る 前編」
お父さんにおんぶされたままリビングに下りていくと、テーブルの上には、もう朝ごはんがならんでいた。
野菜スープ、ふわふわのたまご、サラダ、それから、パン。
いいにおい。おなかへったー。
お父さんがそっと私を椅子の上におろしてくれた。
テレビをつけると、アナウンサーさんの元気な声が聞こえてくる。
『3月11日(金)――今日は全国的に晴れのところが多く、東北地方でも穏やかな陽気となる見込みです』
「ほら、今日のお天気いいみたいよ〜」
お母さんがスープをよそいながらそう言った。
「お外で遊びたーい!」
「今日は午後から授業参観だから、それが終わってからね」
新聞をめくっているお父さんの方を見る。
「お父さんも、見に来てくれるでしょ?」
「もちろん。の晴れ舞台だからな」
お母さんが椅子に座りながら、お父さんに声をかけた。
「私は先に学校行ってるから。準備があるの」
「ああ、わかった。僕はお昼過ぎに早退して行くよ」
私は二人の会話を聞きながら、パンに手を伸ばしかけると、
「こーら、いただきますしてないでしょ?」
お母さんが、ちょっとだけ怖い声でそう言った。
「あっ……」
慌てて手をひっこめると、三人そろって声を合わせた。
「「「いっただっきまーす!」」」
私はすぐにパンを手にとり、ほおばった。
お母さん手作りのパン。
ふわふわで、ちょっとだけ甘くて、おいしい。
「、今日の授業参観で読むお手紙、書き終わったの?」
スープをすすりながら、お父さんが私に言った。
私は口いっぱいにパンを頬張りながら、頷く。